ご処方にあたって

スマイラフ投与開始前の確認事項

投与対象となる患者

効能・効果

既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)

<効能・効果に関連する使用上の注意>

過去の治療において、メトトレキサートをはじめとする少なくとも1剤の抗リウマチ薬等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与すること。

投与禁忌となる患者

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. (1)重篤な感染症(敗血症等)の患者[症状を悪化させるおそれがある。(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」及び「臨床成績」の項参照)]
  2. (2)活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある。(「重要な基本的注意」の項参照)]
  3. (3)重度の肝機能障害を有する患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。(「薬物動態」の項参照)]
  4. (4)好中球数が500/mm3未満の患者(「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照)
  5. (5)リンパ球数が500/mm3未満の患者(「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照)
  6. (6)ヘモグロビン値が8g/dL未満の患者(「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照)
  7. (7)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  8. (8)妊婦又は妊娠している可能性のある女性[動物実験において催奇形性が報告されている。(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)]
  1. (1)本剤は、免疫反応に関与するJAKファミリー(JAK1、JAK2、JAK3、TYK2)を阻害するため、感染症に対する宿主免疫能に影響を及ぼすおそれがあります。本剤投与による増悪のおそれがあるため、本剤を投与しないでください。
  2. (2)本剤投与により患者の症状を悪化させるおそれがあるため、活動性結核と診断された場合には、本剤を投与しないでください。
  3. (3)肝機能障害患者試験(CL-PK10)において、中等度肝機能障害患者における血中の曝露量が増加するとの結果が得られており、副作用が強くあらわれるおそれがあるため、重度の肝機能障害を有する患者には、本剤を投与しないでください。
  4. (4)本剤投与により好中球減少が更に悪化するおそれがあるため、好中球数が500/mm3未満の患者には本剤を投与しないでください。
  5. (5)本剤投与によりリンパ球減少が更に悪化するおそれがあるため、リンパ球数が500/mm3未満の患者には本剤を投与しないでください。
  6. (6)ヘモグロビン値が8g/dL未満の患者には本剤を投与しないでください。
  7. (7)過敏症状が出現する可能性があるため、本剤の成分に対して過敏症のある場合は、本剤を投与しないでください。
  8. (8)動物実験において催奇形性等が報告されているため、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないでください。妊娠可能な女性に投与する場合には、投与中及び投与終了後少なくとも1月経周期は、適切な避妊を行うようご指導ください。

警告、慎重投与など

警告

  1. (1)本剤投与により、肺炎、敗血症、ウイルス感染等による重篤な感染症の新たな発現若しくは悪化等が報告され、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されている。本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、これらの情報を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤投与により重篤な副作用が発現し、致死的な経過をたどることがあるので、緊急時の対応が十分可能な医療施設及び医師が使用し、本剤投与後に副作用が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること。(「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照)
  2. (2)感染症
    1. 1)重篤な感染症
      敗血症、肺炎、真菌感染症を含む日和見感染症等の致死的な感染症が報告されているため、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意すること。(「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照)
    2. 2)結核
      播種性結核(粟粒結核)及び肺外結核(脊椎、脳髄膜、胸膜、リンパ節等)を含む結核があらわれる可能性がある。結核の既感染者では症状の顕在化及び悪化のおそれがあるため、本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部レントゲン検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。結核の既往歴を有する患者及び結核の感染が疑われる患者には、結核等の感染症について診療経験を有する医師と連携の下、原則として本剤の投与開始前に適切な抗結核薬を投与すること。また、ツベルクリン反応等の検査が陰性の患者において、投与後活動性結核があらわれる可能性がある。(「慎重投与」、「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照)
  3. (3)本剤の治療を行う前に、少なくとも1剤の抗リウマチ薬等の使用を十分勘案すること。また、本剤についての十分な知識とリウマチ治療の経験をもつ医師が使用すること。

本剤は、重篤な副作用の発現などに対する定期的な検査や、急速に発現する可能性のある副作用に迅速に対応可能な医療施設及び医師が使用してください。
また、感染症専門医、呼吸器専門医、放射線専門医等と適切な連携を行い、重篤な感染症及び結核の発症に十分注意した上で本剤を使用してください。
専門医との連携についてはこちらをご参照ください。

慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

対象 解説
感染症の患者又は感染症が疑われる患者 本剤は、免疫反応を減弱する作用を有し、正常な免疫応答に影響を与えるおそれがあります。本剤の投与に際しては十分な観察を行い、感染症の発現や増悪に注意してください。本剤投与中に重篤な感染症を発現した場合は、速やかに適切な処置を行い、感染症がコントロールできるようになるまでは投与を中止してください。
重篤な感染症についてはこちらをご参照ください。
また、患者に対し、発熱、倦怠感等があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するようご指導ください。
結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者) 播種性結核(粟粒結核)及び肺外結核(脊椎、脳髄膜、胸膜、リンパ節等)を含む結核があらわれる可能性があることから、本剤投与中の結核の発現に注意してください。結核の既感染者では症状の顕在化及び悪化のおそれがあるため、本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び検査を行い、結核感染の有無を確認してください。結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合は、結核の診療経験がある医師に相談し、原則として本剤の投与開始前に適切な抗結核薬を投与してください。
結核スクリーニング検査についてはこちらをご参照ください。
また、本剤投与中も胸部レントゲン検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意し、患者に対し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱等)には速やかに主治医に連絡するようご説明ください。なお、結核の活動性が確認された場合は本剤を投与しないでください。
易感染性の状態にある患者 本剤投与により、感染症を発現するリスクが増加します。本剤の投与に際しては十分な観察を行い、感染症の発現や増悪に注意してください。本剤投与中に重篤な感染症を発現した場合は、速やかに適切な処置を行い、感染症がコントロールできるようになるまでは投与を中止してください。また、患者に対し、発熱、倦怠感等があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するようご指導ください。
重篤な感染症についてはこちらをご参照ください。
高齢者 高齢者において、重篤な感染症の発現率の上昇が認められています。一般に、高齢者では生理機能が低下しているので用量に留意して、患者の状態を観察しながら慎重に投与してください。
高齢者への本剤の投与についてはこちらをご参照ください。
腸管憩室のある患者 リウマチ患者において腸管憩室の存在に伴う憩室炎の合併は消化管穿孔の強いリスク因子であることが報告されています。本剤投与により、消化管穿孔があらわれるおそれがあります。異常が認められた場合には投与を中止するとともに、腹部レントゲン、腹部CT等の検査を実施するなど十分に観察し、適切な処置を行ってください。
消化管穿孔についてはこちらをご参照ください。
好中球減少、リンパ球減少のある患者 本剤投与により、好中球減少、リンパ球減少が更に悪化するおそれがあります。本剤投与開始前及び投与中は、定期的に血液検査を行ってください。好中球数が500/mm3未満の場合には本剤を投与しないでください。また、好中球数が1000/mm3未満の場合には、本剤を投与しないことが望ましく、本剤投与中に好中球数が継続して500~1000/mm3である場合は、1000/mm3を超えるまで本剤の投与を中断してください。
リンパ球数が500/mm3未満の場合には本剤を投与しないでください。また、本剤投与中にリンパ球数が500/mm3未満になった場合には、500/mm3以上になるまで本剤の投与を中止してください。
好中球減少、リンパ球減少についてはこちらをご参照ください。
ヘモグロビン減少のある患者 本剤投与により、ヘモグロビン減少が更に悪化するおそれがあります。本剤投与開始前及び投与中は、定期的に血液検査を行ってください。
ヘモグロビン値が8g/dL未満の場合には本剤を投与しないでください。また、本剤投与中にヘモグロビン値が8g/dL未満になった場合には、正常化するまで本剤の投与を中止してください。
ヘモグロビン減少についてはこちらをご参照ください。
軽度及び中等度の肝機能障害を有する患者 本剤投与により、副作用が強くあらわれるおそれがあります。
中等度の肝機能障害を有する患者に投与する場合は、本剤の有効性及び安全性を十分に理解し、本剤投与の必要性を慎重に検討した上で、本剤50mgを1日1回投与してください。なお、十分な治療反応が得られない場合は、本剤の投与継続の必要性を検討してください。
本剤投与中は、トランスアミナーゼ上昇に注意するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行ってください。また、肝機能障害を起こす可能性のある薬剤と併用する場合には特に注意してください。メトトレキサート併用時に本剤単独投与時と比較して肝機能障害の発現率上昇が認められています。
肝機能障害についてはこちらをご参照ください。
間質性肺炎の既往歴のある患者 本剤投与により、間質性肺炎があらわれるおそれがあります。本剤投与中は、発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状に十分に注意し、異常が認められた場合には、速やかに胸部レントゲン検査、胸部CT検査及び血液ガス検査等を実施し、本剤の投与を中止するとともにニューモシスチス肺炎との鑑別診断(β-Dグルカンの測定等)を考慮に入れ適切な処置を行ってください。なお、間質性肺炎の既往歴のある患者には、定期的に問診を行うなど、注意してください。
間質性肺炎についてはこちらをご参照ください。
先天性QT短縮症候群の患者 本剤投与により、QT間隔が短縮するおそれがあります。先天性QT短縮症候群の患者に対しては、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。

授乳婦、小児等への投与

【授乳婦への投与】
本剤投与中は授乳を中止させてください。ラットで乳汁中への移行及び出生児の発育への影響が報告されています。

【小児等への投与】
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する使用経験がないため、安全性は確立していません。

その他の注意が必要な患者

対象 解説
B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者 生物学的製剤やJAK阻害剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)において、B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されています。本剤投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認してください。また、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者に本剤を投与する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意してください。
なお、本剤投与時には、日本リウマチ学会による「B型肝炎ウイルス感染リウマチ性疾患患者への免疫抑制療法に関する提言」及び日本肝臓学会による「B型肝炎治療ガイドライン」を参考にするとともに、肝臓専門医に相談の上、適切な処置を行ってください。
B型肝炎ウイルス検査についてはこちらをご参照ください。
ヘルペスウイルスの既感染者 本剤投与により、ヘルペスウイルスを含むウイルスの再活性化(帯状疱疹等)が報告されています。また、重篤な帯状疱疹や播種性帯状疱疹も認められていることから、ヘルペスウイルス等の再活性化の徴候や症状の発現に注意してください。徴候や症状の発現が認められた場合には、患者に受診するよう説明し、本剤の投与を中断し、速やかに適切な処置を行ってください。
帯状疱疹についてはこちらをご参照ください。
悪性腫瘍の既往のある患者 本剤との因果関係は明らかではありませんが、悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されています。悪性腫瘍の発現にご注意ください。
悪性腫瘍についてはこちらをご参照ください。
生ワクチン接種予定者 感染症発現のリスクを否定できないため、本剤投与中の生ワクチン接種は行わないでください。
妊娠可能な女性 動物実験では催奇形性が報告されています。妊娠可能な女性に投与する場合には、投与中及び投与終了後少なくとも1月経周期は、適切な避妊を行うようご指導ください。

患者又はその家族への説明・同意取得

患者に本剤のリスク及びベネフィットをご理解いただき、本剤による治療について同意を得るために、以下の点をご説明ください。

  • 本剤はリウマチを完治させる薬剤ではなく、すべての患者さんで効果が得られるわけではありません。
  • 本剤投与により、肺炎、敗血症、結核、ウイルス感染等による重篤な感染症の新たな発現若しくは悪化の可能性があります。
  • 本剤投与後に副作用を疑う次のような症状が認められる場合は速やかに受診し、主治医に相談してください。
    • 持続性の咳、発熱、倦怠感:結核、肺炎、敗血症等
    • 痛みを伴う発疹:帯状疱疹(ヘルペスウイルスの再活性化)
  • 本剤との関連性は明らかではありませんが、悪性腫瘍の発現が報告されています。
  • 妊娠可能な女性は、本剤投与中及び投与終了後少なくとも1月経周期は適切な避妊を行ってください。家族も含め今後の妊娠の計画や治療について理解いただき、妊娠を希望する場合は、あらかじめ主治医に相談してください。

患者又は家族の方への説明にあたっては、以下の資材をご活用ください。

問診チェックリスト

本剤の投与に際し、適正使用の推進と患者の安全性確保のために、以下の項目に注意しながら問診を行い、患者の状態を投与開始前に確認してください。

診断名

  • 関節リウマチ
  • その他他の治療法をご検討ください。

治療歴

  • 既存治療(抗リウマチ薬)を行っても効果不十分
  • 未治療本剤による治療の前に他の抗リウマチ薬による適切な治療を行ってください。
    本剤は既存治療で効果不十分な場合に投与してください。

年齢

  • (  )歳
  • 65歳以上一般に、高齢者では生理機能が低下しているので用量に留意して、患者の状態を観察しながら慎重に投与してください。

  • 小児小児への使用経験はなく安全性は確立していません。

合併症

既往症

本剤の成分に対する過敏症の既往歴

  • 本剤の投与は禁忌です。

感染症の合併

  • 患者の状態を十分に観察し、慎重に投与してください。
    重篤な感染症(敗血症など)を有する患者に対しては、本剤の投与は禁忌です。

易感染性の状態

  • 患者の状態を十分に観察し、慎重に投与してください。

腸管憩室の合併

  • 患者の状態を十分に観察し、慎重に投与してください。

間質性肺炎の
既往歴

  • 患者の状態を十分に観察し、慎重に投与してください。

悪性腫瘍の
既往歴

  • 患者の状態を十分に観察し、慎重に投与してください。

肝機能障害の
合併

  • 有(軽度)患者の状態を十分に観察し、慎重に投与してください。

  • 有(中等度)本剤の有効性及び安全性を十分に理解し、本剤投与の必要性を慎重に検討した上で、本剤50mgを1日1回投与してください。なお、十分な治療反応が得られない場合は、本剤の投与継続の必要性を検討してください。
    中等度肝機能障害患者に対する本剤の投与についてはこちらをご参照ください。

  • 有(重度)本剤の投与は禁忌です。

先天性QT短縮
症候群の合併

  • 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ、本剤を投与してください。

生ワクチンの接種予定

  • 本剤投与中の生ワクチンの接種は行わないでください。

妊婦・
授乳婦

妊娠

  • 本剤の投与は禁忌です。

  • 不明(可能性あり)本剤の投与は禁忌です。

授乳中

  • 本剤投与中は授乳を中止させてください。

結核

活動性結核

  • 本剤の投与は禁忌です。

結核の既往歴・
治療歴(肺外結核を含む)

  • 結核の診療経験がある医師に相談し、原則として本剤投与開始前に適切な抗結核薬を投与してください。

結核患者との
濃厚接触歴

  • 結核の発現に十分注意し、結核の活動性が確認された場合は本剤を投与しないでください。

併用
薬剤

生物学的製剤、
他のJAK阻害剤

  • 本剤と生物学的製剤や、他のJAK阻害剤等の強力な免疫抑制剤(局所製剤以外)との併用はしないでください。

検査項目チェックリスト

本剤の投与に際し、適正使用の推進と患者の安全性確保のために、以下の項目に注意しながら検査を行い、患者の状態を投与開始前に確認してください。

結核

胸部レントゲン
(CT検査)による
結核所見

インターフェロン-γ遊離試験又は
ツベルクリン反応
検査結果

B型肝炎

HBs抗原

HBc抗体

HBs抗体

血液
検査

好中球減少
(500/mm3未満)

  • 本剤の投与は禁忌です。

好中球減少
(1000/mm3未満)

  • 本剤を投与しないことが望ましいです。

リンパ球減少
(500/mm3未満)

  • 本剤の投与は禁忌です。

ヘモグロビン減少
(8g/dL未満)

  • 本剤の投与は禁忌です。

結核スクリーニング検査

本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部レントゲン検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認してください。結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合は、結核の診療経験がある医師に相談してください。
以下のいずれかの患者には、原則として本剤の開始前に適切な抗結核薬を投与してください。

  1. 1)胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者
  2. 2)結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者
  3. 3)インターフェロン-γ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、既感染が強く疑われる患者
  4. 4)結核患者との濃厚接触歴を有する患者

また、本剤投与中も胸部レントゲン検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意し、患者に対し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱等)には速やかに主治医に連絡するようご説明ください。なお、結核の活動性が確認された場合は本剤を投与しないでください。

[参考] 生物学的製剤投与時の結核予防対策

[参考] 生物学的製剤投与時の結核予防対策

日本呼吸器学会 生物学的製剤と呼吸器疾患・診療の手引き作成委員会編: 生物学的製剤と呼吸器疾患 診療の手引き
http://fa.jrs.or.jp/guidelines/guidance_respiratory-disease.pdf (最終アクセス日:2018年11月30日)

B型肝炎ウイルス検査

生物学的製剤やJAK阻害剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)において、B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されています。本剤投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認してください。また、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者に本剤を投与する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意してください。
なお、本剤投与時には、日本リウマチ学会による「B型肝炎ウイルス感染リウマチ性疾患患者への免疫抑制療法に関する提言」及び日本肝臓学会による「B型肝炎治療ガイドライン」を参考にするとともに、肝臓専門医に相談の上、適切な処置を行ってください。

[参考] 免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン

[参考] 免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン

補足:血液悪性疾患に対する強力な化学療法中あるいは終了後に、HBs抗原陽性あるいはHBs抗原陰性例の一部においてHBV再活性化によりB型肝炎が発症し、その中には劇症化する症例があり、注意が必要である。また、血液悪性疾患または固形癌に対する通常の化学療法およびリウマチ性疾患・膠原病などの自己免疫疾患に対する免疫抑制療法においてもHBV再活性化のリスクを考慮して対応する必要がある。通常の化学療法および免疫抑制療法においては、HBV再活性化、肝炎の発症、劇症化の頻度は明らかでなく、ガイドラインに関するエビデンスは十分ではない。また、核酸アナログ投与による劇症化予防効果を完全に保証するものではない。

  1. 注1)免疫抑制・化学療法前に、HBVキャリアおよび既往感染者をスクリーニングする。まずHBs抗原を測定して、HBVキャリアかどうか確認する。HBs抗原陰性の場合には、HBc抗体およびHBs抗体を測定して、既往感染者かどうか確認する。HBs抗原・HBc抗体およびHBs抗体の測定は、高感度の測定法を用いて検査することが望ましい。また、HBs抗体単独陽性(HBs抗原陰性かつHBc抗体陰性)例においても、HBV再活性化は報告されており、ワクチン接種歴が明らかである場合を除き、ガイドラインに従った対応が望ましい。
  2. 注2)HBs抗原陽性例は肝臓専門医にコンサルトすること。また、すべての症例において核酸アナログの投与開始ならびに終了にあたって肝臓専門医にコンサルトするのが望ましい。
  3. 注3)初回化学療法開始時にHBc抗体、HBs抗体未測定の再治療例および既に免疫抑制療法が開始されている例では、抗体価が低下している場合があり、HBV DNA定量検査などによる精査が望ましい。
  4. 注4)既往感染者の場合は、リアルタイムPCR法によりHBV DNAをスクリーニングする。
  5. 注5)
    1. a.リツキシマブ・オビヌツズマブ(±ステロイド)、フルダラビンを用いる化学療法および造血幹細胞移植: 既往感染者からのHBV再活性化の高リスクであり、注意が必要である。治療中および治療終了後少なくとも12か月の間、HBV DNAを月1回モニタリングする。造血幹細胞移植例は、移植後長期間のモニタリングが必要である。
    2. b.通常の化学療法および免疫作用を有する分子標的治療薬を併用する場合: 頻度は少ないながら、HBV再活性化のリスクがある。HBV DNA量のモニタリングは1~3か月ごとを目安とし、治療内容を考慮して間隔および期間を検討する。血液悪性疾患においては慎重な対応が望ましい。
    3. c.副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制薬、免疫抑制作用あるいは免疫修飾作用を有する分子標的治療薬による免疫抑制療法:HBV再活性化のリスクがある。免疫抑制療法では、治療開始後および治療内容の変更後(中止を含む)少なくとも6か月間は、月1回のHBV DNA量のモニタリングが望ましい。なお、6か月以降は3か月ごとのHBV DNA量測定を推奨するが、治療内容に応じて高感度HBs抗原測定(感度0.005 IU/mL)で代用することを考慮する。
  6. 注6)免疫抑制・化学療法を開始する前、できるだけ早期に核酸アナログ投与を開始する。ことに、ウイルス量が多いHBs抗原陽性例においては、核酸アナログ予防投与中であっても劇症肝炎による死亡例が報告されており、免疫抑制・化学療法を開始する前にウイルス量を低下させておくことが望ましい。
  7. 注7)免疫抑制・化学療法中あるいは治療終了後に、HBV DNA量が20 IU/mL(1.3 LogIU/mL)以上になった時点で直ちに核酸アナログ投与を開始する(20 IU/mL未満陽性の場合は、別のポイントでの再検査を推奨する)。また、高感度HBs抗原モニタリングにおいて1 IU/mL未満陽性(低値陽性)の場合は、HBV DNAを追加測定して20 IU/mL以上であることを確認した上で核酸アナログ投与を開始する。免疫抑制・化学療法中の場合、免疫抑制薬や免疫抑制作用のある抗腫瘍薬は直ちに投与を中止するのではなく、対応を肝臓専門医と相談する。
  8. 注8)核酸アナログは薬剤耐性の少ないETV、TDF、TAFの使用を推奨する。
  9. 注9)下記の①か②の条件を満たす場合には核酸アナログ投与の終了が可能であるが、その決定については肝臓専門医と相談した上で行う。
    ①スクリーニング時にHBs抗原陽性だった症例では、B型慢性肝炎における核酸アナログ投与終了基準を満たしていること。②スクリーニング時にHBc抗体陽性またはHBs抗体陽性だった症例では、(1)免疫抑制・化学療法終了後、少なくとも12か月間は投与を継続すること。(2)この継続期間中にALT(GPT)が正常化していること(ただしHBV以外にALT異常の原因がある場合は除く)。(3)この継続期間中にHBV DNAが持続陰性化していること。(4)HBs抗原およびHBコア関連抗原も持続陰性化することが望ましい。
  10. 注10)核酸アナログ投与終了後少なくとも12か月間は、HBV DNAモニタリングを含めて厳重に経過観察する。経過観察方法は各核酸アナログの使用上の注意に基づく。経過観察中にHBV DNA量が20 IU/mL(1.3 LogIU/mL)以上になった時点で直ちに投与を再開する。

日本肝臓学会 肝炎診療ガイドライン作成委員会編: B型肝炎治療ガイドライン(第3.1版)2019年3月, p78-80
https://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/hepatitis_b(最終アクセス日: 2019年5月24日)

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